ヘンリーのゲーム 5.生き埋め

「図面の通りになってない」
と親方は言った。
「図面の通りというのなら、線はまっすぐ引かないといけない。印と印の間の間隔はどれも同じじゃないといけない。角は直角じゃないとだめだ。ここは」
と言って監督は自分たちの前の地面を指した。
「まずどこに柱が立ちどこに壁が立つか決めて、そこに印をつけて、十分深く掘って基礎を埋めなくてはならないんです。いきなり建物はつくれないんだ」
「ナゼダ」
「大神殿は、石で造るからですよ。あの穴底から切り出した大量の石でね。きちんと計算して石を積み上げないと、長い間には石そのものの重みで崩れてくるんです」
モンスターの現場監督は黙っていた。その顔色をうかがいつつ、親方は自分の道具袋から使いこんだ曲尺を取りだして言った。
「最初が肝心なんです。基礎がきちんとしていないと、上に何を乗せてもうまくいかない。その、我々にやらせてください。方角は測ってあるし、道具は持ってきた。角を決めて、まっすぐの線を引きますから」
現場監督は親方の一行に視線を走らせた。
「ヤッテミロ」
 ルークたちは隅っこにひっこんで、息をのんで作業を見つめた。石工の親方はプライドが高く、短気で傲慢で乱暴な男だった。だが、配下の職人たちに号令して次々と場所を決めるようすはまさにプロの仕事だった。職人たちは最初言われた場所に立ち、それぞれ糸のはしを持って、ゆるみがないように張り渡した。直角になっているかどうかは、糸の先に石を結んで垂らしたり、曲尺をあてて角度を確かめたりした。糸を固定した後、親方は長さを測りながら、職人たちに命じて糸に沿って地面に印をつけさせた。
「これでいい。あとはこの印のところを掘って、基礎を埋めます」
現場監督は親方の作業を見守っていたが、そっけなく答えた。
「ムヨウ」
「!」
親方は真っ赤になった。相手が人間なら確実にどなりつけていただろう。
「コイツラハ、職人カ」
「そうですよ!」
「奴隷トカワレ」
バカにされたと感じたのか、職人たちも嫌な顔をした。だが親方は舌打ちひとつしただけで、そのあたりにいた奴隷に、職人のいた場所に行けとあらっぽく命令した。
 ルークは自分も行かなくてはならないのかと思い、一歩踏み出した。
「待てよ」
ヘンリーはルークの腕をつかみ、斜め下の方角を指した。誰かがのぼってくる。その姿を見ただけで、ルークはぞくっとした。
 背の高い人影だった。頭から黒っぽい頭巾とマントで全身を覆っていた。頭巾の額部分には大きな石をはめこんだ飾り紐をつけていた。
「なんだろう。嫌な感じだ」
あの男、パパスを殺した頭巾の悪魔、ゲマに似ているのだ。
 ゲマに似たマントの男は、飾りはないが似たようないでたちの者数名を従えて現場監督のいるところへやってきた。人間には理解できない言葉で何か話し合っていた。
 親方と職人たちは、怒り半分、怯え半分という顔で脇へ退いている。
 広い台地の上には石工のつけた印があり、奴隷監督が疲れ切った奴隷に鞭をふるって一人づつ印の上に立たせていた。
 マントの男はふいに頭巾の下で笑った。マントの前の合わせ目から骨ばった手が現れて、奇怪な形をつくった。その口が動いている。呪文の詠唱だ、と直感的にルークはそう思った。
 ひぅぅぅと風が吹いた。山頂の台地は遮るものひとつない。子供たちは両手で腕をさすって寒さをこらえた。
 そのときだった。地面の上に描いた丸の上に、所在なげに立っていた奴隷がひとり、うっと叫んで顔をのけぞらせた。苦しそうに身をよじらせ、逃げようと足を動かしたが、その場でバタバタともがくだけだった。
「足、見ろ。なんだあれ」
ヘンリーがささやいた。
 地面についたままの奴隷の裸足の足が、光沢のある赤紫色になっていた。くるぶしまで染まった足は、どんなに奴隷がもがいても動かなかった。
 気がつくと、隣の奴隷も悲鳴をあげていた。悲鳴と狼狽はすぐに広がった。印の上にたたされた奴隷がすべて、激しく身悶えしていた。
 それは気分の悪くなるような光景だった。あたりにはいつのまにか、玉ねぎの腐ったような臭いでいっぱいになった。赤紫色のものは、光るスライムのように見えた。それは奴隷の足をその場に固めているらしい。ゆっくり時間をかけて膝から太股へ上ってきた。哀れな奴隷たちは下半身を動かすことができず、上半身だけ激しくもがいた。
 ある者は泣き叫び、ある者は空中を虚しくひっかいた。風の吹く山頂台地は、あっというまに阿鼻叫喚の場となった。
 鞭を持った奴隷監督たちは、短い指でその姿を指し、太鼓腹を抱えて笑い出した。ひどく滑稽に見えるらしかった。
 苦しみを長引かせたいかのように、赤紫のスライムはゆっくり奴隷たちを固めていった。彼らの苦悶を職人たちは歯の根があわないようすで見守った。ついに一人が背後を向いて吐き始めた。げっげっとうめく声が、鞭男たちの笑い声にまじった。
 光るスライムは胸から喉へ、そして顔、頭のてっぺんへ上っていく。奴隷たちは絶望の表情のまま赤紫色の写実的な石像と化した。しばらくの間奴隷たちはどぎつい赤紫色に輝いた。それからまず光沢が薄れ、色合いも白っぽく変わっていく。台地の上は苦しむ奴隷像が等間隔で立ち並んだ。
「コレデヨイナ」
何事もなかったかのように現場監督は石工の親方に言った。
「大地ノ守リ手ガアノ者ドモヲ捕ラエテ石化シタ。アレヲ柱ニスルガイイ」
 石工の親方は呆然としていた。
「ただ、基礎を置けばよかっただけなのに」
「ソンナコトヲスルヨリ、大地ノ守リ手ニユダネタ方ガ重サヲ支エルノニ都合ガイイ」
「こんなことを神がお許しになるのか!」
「ワタシタチノ神ハオマエタチノトハチガウ。ソレダケダ。マダ何カモンクガアルカ」
親方は言い返そうとした。が、そばにいた職人が諌めるように肩に手をふれた。
「……ありません」
「ヨシ。作業ハ明日カラカカレ。遅延ハユルサナイ」

 表面上、日々は何事もなく進んでいた。大神殿の建設は、柱を建てるところから始まっていた。大神殿を支えるべき柱はものすごく高く、それにふさわしい直径もある。石工の親方は大神殿建設予定の台地に点在している苦悶の奴隷たちの足元を、それぞれ柱の基石で囲み、石化した奴隷の身体のまわりに柱を組み上げることにした。
 柱となる石材に囲まれ、苦悶の奴隷たちはモルタルで固められた。凄まじい形相で苦しむ奴隷が柱の芯となって見えなくなったことで、職人たちはどこかほっとしたように見えた。
 親方は、毎日建設現場に出て職人に作業の内容を指示していた。当然ルークたちも親方のそばにいて、言いつけられるままに働いた。たいていは親方の造った見本の通りに、岩の塊を槌とノミで削り、パーツを造っていた。
 大神殿は、人間である信者に見せるためのものだった。見せ神殿である以上、信仰心をかきたてるような荘厳さ、華麗さを必要としている。そのため神殿の細部には装飾が必要だった。気の短い乱暴な親方は見かけによらず繊細な彫刻家でもあった。彼の手で生い茂る若葉、咲き乱れる花々、小麦の束、葡萄や林檎のような果実、愛らしい小鳥や小動物など、豊穣の風景を形作るもろもろが造られ、それを見本にして熟練工の手で装飾パーツが量産され、柱の頭や足元、アーチや壁、窓の周り、大神殿本堂の石舞台その他を飾ることになっていた。
「おい、ガキども」
と声をかけられれば、即座に作りかけのパーツを置いて用事を聞きに行く。
「モルタルだ」
それはルークたちが毎日で造らされているもののひとつだった。モルタルは石と石を接着する働きがある。毎朝ルークたちは貝殻を大きな炉で焼き、焼き上がったら砕いて舟と呼ばれる木の浅い箱へ入れて、細かい砂と水を注ぎ、よくかき回す。モルタルづくりを失敗すると親方から殴る蹴るをされるのは、初めて徒弟になったときから変わらなかった。
 ルークは重いすり鉢を一生懸命抱えてきて、舟の中に砕いた貝殻を空けた。すり鉢に貝殻のかけらが残っているとしかられる、すなわち殴られるので、指で最後の一片までつまみだす。とがった貝のかけらが指先にいくつも傷をつくった。
ヘンリーがやはりよろよろしながらバケツで砂利を運んできた。傍らに水を用意して、二人で長い木の板で舟の中を掻き回し始めた。
 舟のすぐそばにたまたま親方がいた。あのときいた金茶色の鱗の建築監督は、最近地上に出てこなくなった。それでも兵士たちは武器を携えて建設現場のまわりを見張っている。親方はむっつりしていた。
「チクショウめ」
子供たちは聞こえないふりをした。第一、親方はモルタルの舟に背を向けているのだ。
「臆病もんがっ」
誰を罵っているのかわからないが、下手に返事をしないほうがいいと二人はこの数年で学んでいた。
「あいつら、すっかりびびってやがる」
と親方の"独り言"は続いた。
「工事が終わったら給金をもらって帰るだとよ。バカ野郎、あのトカゲがそんなことさせるもんか」
トカゲというのが、鱗の生えた建築監督のことだ、とルークは直感でわかった。
「眉ひとつ動かさず、奴隷を死なせたんだぞ。基礎を置くよりも便利で早いってだけの理由で。俺たちだって、あいつに役立たずだと思われたら、あっさり殺られるに決まってるじゃねえか」
親方は左右に視線を走らせた。
「第一、おれの造るもんの真下にちゃんとした基礎がなくてあのいやったらしい化けもんがいるなんぞ、我慢できん。何が地の守り手だ」
奴隷監督をつとめる鞭男たちは、崖の下の採石場やトンネル掘り現場へ出向いていた。職人たちは柱の周りに足場を組んで、その上に柱を伸ばそうと作業していた。あたりにいるのは、ルークたちだけだった。
「逃げたくないか、おまえら」
ルークは息を呑んだ。思わずヘンリーの方をみた。ヘンリーは板をまわす手をとめ、舟にかがみこんだかっこうのまま上目遣いに親方の背を見上げていた。いつもの無気力な奴隷の表情が変わり、真剣な目になていた。
「一人じゃ無理でも、三人がかりなら、逃げられるかもしれねえ。だが、時間はかかる。その間に一人でも密告したらだめだ。どうだ、乗るか」
ルークは息がつまりそうになった。なんと親方がヘンリーの脱出ゲームに参加しようとしているのだった。
「ヘン……」
「シッ」
激しくヘンリーはささやいた。
「あんたが裏切らない保証は?」
背を見せたまま親方は逆に聞いた。
「おまえ、ラインハット人だな?」
「……そうだよ」
「俺もラインハットの出だ。こう言えばわかるか、命あっての物種って。トカゲは相場の倍の給金を保証した。たしかに金はもらえるが、ここじゃ使いどころがまるでない。おれは娑婆へ帰りたいんだ」
「それだけじゃ保証にならない」
「じゃあ、こうしよう。毎日仕事のあとに、おれはおまえたちを仕込む。脱走の役に立つようにな。それなら、万一おれだけが先に脱走しても、おまえらは自分たちで逃げられるようになる」
小さなヘンリーはルークと顔を見合わせた。
「早く答えろ」
子供たちはうなずきあった。
「乗るよ、親方」
「む」
それだけ言うと、親方はのしのし歩き出し、作業している職人の方へ曲尺をつきつけた。
「おい、そこ、何やってる!石置きが間違ってるぞ!」
ルークたちは再びモルタルづくりに没頭した。
「ヘンリー、よかったねっ」
3年目にしてゲームの手がかりが向こうから手の中へ飛び込んできたのだから。
「ま、信頼しきるわけにはいかないけどな」
とは言ったが、珍しくヘンリーは牢の外で笑顔を見せた。

 そのときの興奮をルークは胸によみがえらせた。
「最初ぼくたちは覚悟していました。短気ですぐに暴力に訴える親方は、教師として最低の部類ではないかと思っていました」
「その言い方では、そうではなかったということかな?」
とマスタードラゴンは尋ねた。
「親方はつまり、最初から親方ではなく、徒弟だったころもあったということです。石工の徒弟は石工の職人が教育します。教育の方法は伝統的に確立されていました。現に親方が最初にぼくたちに与えたのは、ぼろぼろの古い石板のセットでした。彼自身が徒弟の頃に使った教科書だったんです」
「その男は何を教えたのだ?」
「まず、読み書き。教科書の内容を読めなくてはなりませんから。次に教科書の内容そのもの、すなわち石工たちが代々伝えてきた秘儀でした」
ルークは両手のひらを掲げ、親指と人差し指を広げて両側からくっつけた。
「たとえば、両辺が等しい長さを持つ三角形を、定規とコンパスだけで石の上に描く方法。真円の縁の長さを半径から求めるやり方、等々。算数から始まって幾何学中心の数学を石工たちは代々学びます。極めつけは、巨大な石材の重量を分散しながら、大きく、背の高い建築物を建てることでした」
「なるほど、秘儀だな」
ルークは手をおろした。
「これに関して、ぼくより一歳年上だったヘンリーは圧倒的に有利でした。元々の生活環境であるていど学んでいましたし、物覚えはかなりいいですから。ぼくはずいぶん宿題を助けてもらったものです。でも、僕の方が成績のよかった分野もありました」
「あててみようか。武術ではないか?」
「その通り。読み書き数学のあとに、親方はぼくたちに武器の使い方を教えてくれました。そしてその方面では父がすでにいろいろなことを教えてくれていたことに、ぼくはあらためて気付かされました。奴隷兼徒弟兼生徒と言う生活はしばらく続きました。その間にぼくたちはずいぶん背が伸びました。あいかわらずやせっぽちでしたけども」

 奴隷が働かなくてもよくなるのは、いつ?大神殿建設現場で働かされている奴隷たちは、ときおりそんなことを言い合った。答えは、ひとつ、死んだとき。ふたつ、岩牢へもどったとき。だが、悲しいことに、岩牢の中の奴隷の群れは、男子牢女子牢とも互いにいたわりあう仲間ではなく、力で決まる容赦ない上下関係のある集団だった。
 上下関係は、手に入れる食料の多い少ないに直結した。さらに寒くて居心地の悪い洞窟のなかによい寝場所を確保できるかどうかにつながった。腕力のある男がヒエラルキーの頂点に立ち、そこから体力によって階層がさがっていく。階層の低い者は、乏しい食糧と寒い寝床によって少ない体力をさらに削り取られる。ルークたちは岩牢の中で唯一の子供だった。入牢してから数年たっていたが腕力などあるはずもなく、階層は常に底辺だった。
 ルークたちよりも下なのは病気や老齢で力仕事ができなくなった者、作業中の事故で手足を損傷した者などだった。彼らは当然のように飢餓牢へぶちこまれ、数日で死んだ。
「助けてくれ、何か食わせてくれ!」
死ぬまで彼らは叫び続ける。その声が聞こえるたびに小さなルークは両手の中に顔を埋めた。
「おい、下手な同情はするな!」
小声でヘンリーは言った。
「今夜のおまえの食い物はこれだけなんだぞ。分けてやったりしたら、おまえが死ぬ。第一、毎日分けてやれない以上、希望を持たせる方が残酷だろう」
小さなルークは涙でしょっぱくなった固いパンをむりやり口に入れて噛み、飲み下した。
「ぼくは、卑怯だ」
「やめろって、くそ!こないだみたいなことになるぞ」
ヘンリーが言うのは、数日前の事件のことだった。小さなルークは、大柄な牢名主が奴隷用に配給された食糧からごっそり自分の分をとりわけたのを見るやいなや、走って言いにいったのだった。
「それを、あの人たちにあげてください!」
はじめ牢名主はきょとんとした。それから物も言わずに小さなルークを殴り飛ばした。むき出しの岩床へふっとばされたとき、怪我をしないように体勢を整えたのはパパスから受けた教えのおかげだった。
「俺に指図するんじゃねえ、クソ生意気な小僧っこが!」
昼間の従順さとはうってかわって、獣性をまるだしにしてわめきたて、奴隷の男は子供の身体に蹴りを入れる。まるでうっぷんばらしのようだった。
「あんなのは、ごめんだぞ」
ためいきまじりにヘンリーは言った。
「うん。ごめん」
言うな、とヘンリーはひじでこづいた。
「ねえ」
「ああ?」
二人がいるのはおなじみの場所、奴隷の岩牢の片隅の壁のくぼみだった。もともと岩牢は天然の洞窟を利用したもので、壁と言ってもなめらかではなかった。くぼみの奥は狭い隙間になり、そこから冷たい風が吹き込むのだ。風といっしょに外からぼんやりと明かりが射す。雪に反射した月明かりだった。
 わずかな灯りをたよりに小さなルークたちは親方から出された宿題をやったりした。奴隷としてつれてこられたヘンリーが初めて刻んだ爪痕もそのくぼみの壁にある。この会話の時点でヘンリーのカレンダーは、そろそろ五年目になっていた。
 食事と宿題が終わると二人ともごつごつした岩床に薄いむしろを敷き、やはりむしろにくるまって互いの体温で暖めあいながら夜を過ごすのだった。
「ぼくたち、食べ物を手に入れられないかな」
飢餓牢の囚人の悲鳴にうつむいていたルークが両手から顔を上げてそう言うと、薄暗い牢の中で、ヘンリーは驚きのあまり目を丸くした。
「お、おまえ」
「うん。盗むつもりだよ」
光の教団本部員用の食糧倉庫から。しばらくヘンリーは沈黙していた。
「本気か」
飢えに耐えかねた奴隷は盗みに走ることがあった。が、盗んだとわかれば、見せしめのために他の奴隷たちを地上へ集め、その真ん中でむごたらしい処刑が行われた。
「うん。ヘンリーには言わなかったけど、ぼく、簡単な鍵なら開けられるんだ」
洞窟にすむドワーフの老人が編み出した鍵の技法。それを身につけて氷の館へ挑んだあの日。そばにいたのはキラーパンサーの幼獣と妖精の少女だった。あれは本当のことだったんだろうか、もしかして夢か空想だったんじゃないか、とルークはときどき思う。あのおとぎ話のような世界から、なんと遠くへ来てしまったことか。
 もしかしてポワン様は、ぼくがこんなふうに奴隷にされて鍵の技法を使わなくてはならない日が来るのをご存知だったのかしらとルークは思った。
 ヘンリーはじっとルークを見つめながら、黙っていた。それからぽつりと言った。
「よし。つきあう。必要なものはなんだ」