このお話はDQ5の少年時代と青年時代の間にある、主人公が大神殿に居た10年をテーマにした二次創作です。5主はだいたい小学一年生くらいの年から高校一年生くらいまでの歳月を奴隷として過ごしたことになりますが、悲惨な生活だっただろうことが推測されます。
そんなときにヘンリーのはたした一番大きな役割は何だったでしょう。それは希望を持続させることではないでしょうか、たとえば↓こんなふうに。
「いいか、これはゲームだ。お城から脱走するのと同じ、大がかりな脱出ゲームなんだ。勝とうと思ったら、取れる物はなんでも取って、ヒントは全部つかまえて、ここぞって時に活用するんだ。無事にここから出られたら勝ちだ。おまえもいっしょにやろうぜ?」
嘘つきのヘンリーの脱出ゲームの物語です。かなり重苦しいお話になりますが、とんぼはここで彼らが造ろうとしている大神殿にけっこう夢中になってしまいました。舞台は岩山の上、登場人物は5主、ヘンリーのほかは兵士ヨシュア、その妹マリア、他はオリキャラです。物語はまず、バッドエンドから始まります。
↓は、二次創作のために調べたことをざっと並べてみたものです。興味のない方はさくっとパスしてください。たいしたことは言っていません。
キリスト教の大聖堂のおおざっぱな造り方▲
1.二本の柱を並べて建てます。
2.柱と柱の間にアーチを掛けます。(アーチAとします。)アーチは精密に切った石をアーチ型に並べ、石と石の張り合う力で支えます。(ほんとは石と石の間にセメントのようなものを塗ってくっつけます。)しかし石の重みは下へ向かうだけでなく、左右に広がろうとする力にもなります。その力は左右の柱を逆ハの字に押すことになり、アーチは崩壊します。
3.左右へ広がるのを抑えるために、柱の両側に支えをつけます。円の四分の一のアーチをつけます。柱の外側にあるこの部分を側廊、柱と柱の間の部分を身廊と呼びます。左から側廊、身廊、側廊と並びます。
4.支え付きアーチを一列に等間隔で並べます。
5.アーチAと直角にアーチBをかけます。Bは、柱のLどうし、Rどうしをつなぎます。左上図は上から見たところ。このアーチBの列なりをアーケードと言います。
6.もうひとつアーチCをかけます。アーチCは、L1とR2、R1とL2のように斜めにかけます。左上図は上から見たところ。斜めの筋交いによってできた三角形の部分に切石を積みます。これで四分割リブ・ヴォールト天井のできあがりです。アーチCは「リブ」と呼ばれます。
7.実はアーチAとアーチBは、高さに違いがあります。Aに対してBはだいたい半分の高さです。Aは高いので、さらに横から控壁という支えをつけます。
8.実際の例。シャルトル大寺院(「図説 大聖堂物語 ゴシックの建築と美術」佐藤達生・木俣元一著 河出書房新社 2000年)p33,37,60より。
4枚目の写真は、柱Lの前に立ってLを見上げている状態です。身廊をはさんで向こう側に柱Rの列が並び、アーケード(アーチB)でつながっています。アーケードの奥にR側の側廊が見えます。柱Rの上からアーチA、Cへつながっています。
9.大聖堂=教会はたいてい十字架型です。
引用元は8と同じ(p14)。柱と柱の間は身廊、その両側から壁までが側廊、左右に尽きだした部分は袖廊(十字架の短い横棒に見える部分)。入り口(画面下)は必ず西です。東には祭壇(画面上、半円になったところ)があり、その部分は聖職者専用で内陣と呼ばれます。内陣の壁には、控壁があるのがわかります。
ここでドラクエ
二次創作のプランとして考えた、光の教団本山大神殿用平面図です。十字の印に見えるのが柱です。奥にある白っぽい四角は隠し戸。
★十字架型の必要がないので、袖廊を省略します。
★身廊を9の図の倍以上に広げ、側廊は逆に狭くしています。アーチAにあたるものの横幅がすごく広くなりますが、物理的な整合性はこの際置いておいてください。
★さらにゲーム本編にあわせて内陣は石舞台として高くします。側廊も身廊より高いです。側廊への小さな階段をつくり、高さとしてはステージ>側廊>身廊です。
★石舞台の奥の壁に沿っていくつか窪みをつくりました。ひとつひとつに石像を飾ります。そのひとつが天空の花嫁用です。入口の大扉を解放して中を見るとこんな風になるはず。奥にあるでかい○は、太陽のステンドグラスです。
★拙作「聖女のステンドグラス」では、内陣の壁、つまりステージの背景に大きな三つのステンドグラスを配置しています。また作中奴隷の5主は柱の上の方に石材を運ぶため、櫓を上っています。何を運んでいたかと言うと、8で赤い丸でつけたところにあるような、彫刻を施したパーツです。この部分を柱頭飾りと呼ぶそうです。ゴシックの石造建築は、ほぼすべての装飾パーツが石です。▲
大神殿のための二次創作メモから↓
袖廊のない教会のイメージ
入り口と出口の閉じた石のトンネル。身廊の両脇に側廊という構成。身廊と側廊はアーケードで分かれている。 身廊はすごく幅が広い 側廊は逆に狭い
入り口から身廊へはなだらかに下っていくが、左右の側廊へは短い階段であがる。側廊はそのまま内陣へ到達するが身廊は舞台の下で行き止まり。身廊の一番前に立つと石舞台を見上げることになる。
内陣の壁は三面からなり、それぞれ縦長の尖頭アーチ型窓ステンドグラス付きので壁面の大半が覆われている。正面のが一番幅の広い窓 ステンドグラスは教団の名にちなんで、中央が太陽、左右が月と星のイメージ。
ステンドグラスの下には信者をイメージした男女の立像がたくさん置かれる。すべて舞台上のミルドラースを崇める感じの、気品のある顔立ちの裕福で幸せそうな男女。ビアンカの石像はその中にまぎれこむ。一人だけ真顔で緊迫した表情の高貴な女性
入り口は柱によって三つに分割され扉も三つある。それぞれ尖頭アーチ型のタンバンを持ち、そこに飾り彫刻をつけてある。さらにその三つの尖頭アーチをすべて抱え込む巨大な尖頭アーチを背後に持ち、その部分、ファサードには、神々しいミルドラース(角と尾のある神人)がマスタードラゴンらしい竜を踏まえている姿が描かれている。
身廊と側廊をわかつ柱は太く、柱頭からは柱どうしをつなぐアーチがでている。その上には半分の高さの小アーチが並び、その上に明かり取りの尖頭アーチ型の細長い窓が並び、その上はヴォールトを支える柱にもなっている。
柱の基部、柱そのもの、アーチ、窓、窓と窓の間の空間ほかにびっしりと彫刻。まるで基部から生えた若木が柱の周りを伝い、あらゆる空間に若葉をのばしているかのような錯覚が起こる。入り口近いのは若葉だが、内陣が近づくとつぼみが混じり、一番内陣に近い柱では華やかに咲き誇っている。
外壁には薄物をまとう乙女たちやこの教団の神話に登場する人物の立像が刻まれる。含ミルドラース、イブール、マーサ。またはミルドラを信じていなかったが奇蹟を見て改心したさまざまな人々という布教神話の登場人物
石舞台は天井から下がる梁から大きな幕を下げて隠している。そのため神殿内は暗い。だが礼拝が始まると幕は引き上げられ、内陣の後ろの三つの窓が現れる。そこからステンドグラスで色鮮やかになった光が華やかに差し込む。
★大神殿の外観については、別プランあり。▲
大神殿建設予定地周辺
DQ5本編では大神殿の周辺は、少年時代と青年時代の間と青年時代後半に一度づつ見ることができます。ゲームからの推測と、二次創作に必要な部分の追加を交えて描いた、大神殿周辺のまず断面図。
そして平面図。
水色のラインの上はDQ5本編にはまったくでてきませんが、おそらく光の教団の皆さんおよび建設現場を警備している兵士諸君も近所に住んでいるであろうという推定の元に書きくわえています。前者(図では「教団本部」)にはマリアさん、後者(同じく「戦士団本部」)にはヨシュアさんが在住予定です。ちなみに水色のラインは奴隷が越えることを許されないもので、有刺鉄線のようなものを想定しています。▲
イベント年齢対応表(5主)
- 6歳
- さらわれてくる 一ヶ月後徒弟となる
- 9歳
- 生き埋め事件 親方の計画
- 12歳
- ヨシュアの鍵束~食料盗み 新しい牢名主になる
- 14歳
- 親方の脱走 徒弟から石切り場送り
- 16歳
- マリアが奴隷にされる~樽流し