背水の覚悟 3.ゾンビ来襲

 前方で歩哨が叫んだ。
「敵襲!!敵襲ぅっ!!」
 グレイグは馬上で大剣を抜き放った。背後の砦では外敵の侵入にそなえて逆茂木を落とした。直属の兵士たちがすべて抜刀して剣を眼前に掲げた。そのまま粛々と全軍が前進した。
 前からやってくるのは不死の軍団だった。グールがいる、腐った死体がいる、骸骨剣士がいる、そしてスカルナイト、アンデッドマン、ドラゴンゾンビ、どくろ大臣、ヘルズクロウ、と、ゾンビ系モンスターが戦場を埋め尽くしていた。思った通りデルカダール城の廃墟に集結したモンスターどもだった。
「来るぞ、そなえよ」
 ボウガン部隊が前に出て斉射で敵を出迎えた。空中を飛ぶモンスターは次々とボウガンの餌食になった。あとは地上軍どうしでカタをつける。
「おおぉっ!!」
剣で前方を指し、グレイグが雄たけびを上げた。その勢いに乗って黒馬リタリフォンが突進を開始した。
「おおおおおおおおおおぉぉっ!」
ゾンビ師団とデルカダール王国軍が激突した。
 ちら、とグレイグは視線を走らせた。激突直前、なぜかイレブンが最前線に現れた。イシの村を守る義勇兵ということだろうと頭では理解したが、心がついていかなかった。
――なぜおまえは戦うのだ?
かつてグレイグはイレブンを悪魔の子として追い詰め、ついには剣を交えた。一度敵として戦った者が自分の傍らで味方として剣を振るうというのは何か間違っている気がした。
 さきほどイレブンが隣に並んだ時、こちらを見上げた。一言も発しなかったが、イレブンの殺気は本物だった。
 ここは戦場なのだから、殺気だって悪いことは何一つない。だが、そんな常識をイレブンの表情は裏切っていた。
 “おまえを殺してやりたい。”その眼は明確にそう語っていた。
 馬上からグレイグは戦場を検分した。
 イレブンは抜刀して走っていた。スカルナイトが剣を振り下ろしてきた。髑髏の眼のなかに悪意をこめた光があった。嫌悪に顔をゆがめ、イレブンは刃をぶつけた。ゾンビキラーはやすやすとスカルナイトを切り裂いた。
 手こずるデルカダール兵の横をすり抜け、イレブンは両刀を振り下ろした。
――なぜおまえは戦うのだ?
その答えが、なんとなくわかるような気がする。
――戦いたいから戦っている……。
 そう言いたくなるほどイレブンは自在に戦場を駆けていた。左手に包帯があるのを見ると負傷しているらしいが、剣技を見る限りその影響はほとんどないようだった。
 彼のいるところゾンビキラーとゾンビバスターが鮮やかに宙を舞い、不死のモンスターを塵に還していく。イレブンの唇のはしが吊り上がり、熱に浮かされたような目は見開かれていた。
 圧倒的なその強さ。最初、半ば哀れみ、半ばバカにしていたデルカダール兵たちがぽかんとして眺めるほどだった。
 グレイグは意識を前方へ向けた。リタリフォンを駆ってモンスターの群れへ突っ込んだ。いきなり接近されてあわてるモンスターを、右へ左へと切って捨てた。敵の数は多く、一体ごとに時間をかけてなどいられない。ましてや足止めされるつもりはなかった。円を描くようにグレイグは移動して、足もとに群がるスカルナイトを始末していった。
 戦場のあちこちでグレイグ隊は善戦していた。訓練の通り、敵に対して三人がかりで対処するようにしていた。
 グール数体を従えたどくろ大臣に“デルカダール三本刀”ことウィニー、イトル、ナックルが手を焼いていた。腐った死体のバカ力でウィニーがふっとばされ、ダメ押しの一撃をくらいそうになった。
ゾンビバスターが攻撃を阻んだ。割って入ったイレブンは、ウィニーの顔も見ずに下がってろ、と言った。
 どくろ大臣が手下を引き連れてイレブンを取り囲んだ。イレブンは鼻で笑って両手の武器を眼前で交差させた。
銀の軌道がその場を薙ぎ払った。アンデッド系モンスターはあっというまに屠られて塵に還った。
「ひえ~!あぶないところだったぜ!アンタ、ものすごく強いんだな!」
イレブンは懐柔される気はないようだった。
「あんたらが弱いんだろう」
と“デルカダール三本刀”に向かって吐き捨てた。
「そうかもな。頼みがある。グレイグさまを助けに行ってくれ。あれじゃ突出しすぎだ」
イレブンは二刀を握りなおした。
「あいつはどこだ?」
グレイグが眼を上げると、相変わらず殺気を満々と湛えたイレブンがこちらへ向かってくるのが見えた。
 そしてその背後からスカルナイトが迫るのも。
 グレイグは馬上から叫んだ。
「ふせろ!!」
イレブンは、はっとした。スカルナイトは剣をかざして高く跳んだ。
 グレイグは鐙を蹴って飛び出した。大剣を振り上げてスカルナイトに袈裟懸けの一撃を見舞った。赤い鎧と兜がバラバラになって吹っ飛んだ。
 グレイグは振り向いた。
「気を抜くな!」
どうしてこの若者を助けたのか、自分でもわからない。イレブンは戦場なのをよいことに、自分を殺そうとしたのではないか?グレイグは頭を振った。余計なことを考えているときではなかった。
 別の殺気が二人を取り巻いた。ゾンビ系モンスターの一団がいつのまにか二人を包囲していた。
 イレブンは剣を構え、グレイグと背中合わせに立った。
「次は……おまえにかまう余裕はない。……来るぞ!!」
隊長らしいスカルナイトが剣をこちらへ向かってつきつけた。
「カカレェ!」
がいこつけんし、スカルゴン、スカルナイト、エビルビーストら、麾下のゾンビ軍団が一斉に襲ってきた。二人の剣がうなりをあげた。この戦場へ投入されたアンデッドどもの生き残りが全部グレイグたちにかかっているのだろう。背後のイレブンもだいぶ斬ってくれたが、なかなか数が減らなかった。
 そのとき、馬の蹄が地を踏みしめた。重い金属音がした。トゲ付の鉄球が地に落とされたのだった。
 ゾンビどもが剣をおさめ、ゆっくりあとずさった。広くなった戦場へ、デュラハーンが姿を現した。馬鎧をつけた軍馬にまたがり盾と鉄球を装備した甲冑の騎士だが、首のない魔物だった。
「その大剣、その強さ、キサマがグレイグか。……魔軍司令殿の言う通りだな。バカ正直でマヌケなツラよ。グハハハハ!」
まわりのゾンビたちがグレイグを指さしてカラカラと骨を震わせ、嘲笑った。
 デュラハーンが盾を突き出した。盾についた顔が大口を開いた。
「キサマをしとめればほうびはたんまりだ。魔軍司令殿は気前がいいぞ!グハハハハ!」
二人は身構えた。まわりのモンスターはカラカラと笑い続けた。デュラハーンは盾に着いた顔を左右へ突き出した。
「…………お前たち、何をボケっとしている。グレイグを殺せ!!」
盾が咆哮すると同時に猛攻が始まった。
 背後で舌打ちが聞こえた。イレブンらしかった。
――残念だったな。これでは俺の首を取る暇はないぞ。
からかい交じりにそう言ってやりたい気がしたが、眼前の敵はそんな余裕を与えてはくれなかった。
 剣を構えた骸骨数体がじりじりと迫ってきた。そのとき、靴底が草地を踏みしめた。グレイグの隣でイレブンはゾンビバスターを構え、気合を入れ始めた。
 刀身に光が宿り、地上の稲妻のように輝いた。アンデッドどもはその眩しさに目をそむけた。
「ギガブレイク」
光でできた剣が敵を薙ぎ払った。華麗な光の奔流が戦場を真昼に変えた。次の瞬間、スカルナイトたちは次々と真っ二つになり、消えうせた。
 デュラハーンは焦ったようだった。頭上に鉄球を振りまわし、こちらへ突進してきた。
――遅い!
鉄球の軌道を見切るのは簡単だった。グレイグは身をかがめて鉄球をやり過ごし、デュラハーンとの間合いを詰めた。片手で鞍をつかみ、もう片方の手で大剣をふるった。手ごたえがあった。
「グゥオッ!」
アンデッドのくせに痛みに弱いらしかった。
「お前の相手はぼくだ」
反対側からゾンビバスターが襲い掛かった。デュラハーンの手から鉄球の鎖が零れ落ちた。
「グゥワアアアアッ!!」
HPを削り尽くされたデュラハーンは、盾に着いた顔から金切り声をあげ、煙となって消えた。
「ひっ……ひけっ!ひけーっ!退却だ、者ども!ひけーっ!」
残りのゾンビたちが戦場から逃げ出すまで、いくらもかからなかった。
 グレイグたちは、肩で息をしながらその場にまだ身構えていた。上空では夜が明けたのだろう、わずかにあたりが明るくなった。
 やがてグレイグはゆっくり身を起こした。
 デュラハーンは、ゾンビ師団の団長であったらしい。さすがに強敵であり、グレイグはくたくただった。
――今襲い掛かれば、この命取れるやもしれんぞ。どうする。
隣りのイレブンは無言だった。殺気を満々と漂わせ、素手の右手にゾンビバスター、包帯を巻いた左手にゾンビキラーを持ったまま、向き直った。戦場を縦横無尽に暴れまわった名残に、腕や顔に切り傷ができて、髪が額に乱れていた。そして何より、深い闇をたたえた目でギラギラとこちらを見ていた。
 その時だった。背後から兵士が一人走ってきた。
「グレイグさま!王がお呼びです。イレブン殿も共に!!」
二人とも一瞬、気をそがれた。グレイグは我に返った。この場で勇者と殺し合いを始めるわけにはいかない。
「わかった。すぐに行く」
呼び出しをいいことに、グレイグは一人歩き出した。底光りするようなイレブンの視線が、歩くグレイグの背をずっと焼いていた。

 王のテントへ入る前に、グレイグは息を整えた。
「グレイグ、まいりました」
 王は一晩中床に就かなかったのだろう、寝台の上に座っていた。
 グレイグはちょっと驚いた。王は、先ほどの戦が始まる前の王とどこか違って見えた。衰えの目立つ高齢の王はどこへ行ったのか。そこにいるのはグレイグの記憶しているままの壮健な王だった。
「よくやってくれたな、グレイグよ」
 声の張りも違う。
「おかげをもちまして、なんとかゾンビ軍団を退けました」
「戦場は?」
「念のため、隊の半数を見張りとして残し、警戒を怠るなと言いつけております」
王はふいに笑みをもらした。
「さきほどから歓声が聞こえる。ついぞ聞かなかったものじゃ」
「勝ち戦でございましたから。兵士も避難民も、初めての勝ちに高揚しているようでございます」
からからと王は磊落な笑い声をあげた。
「王の座所がテントと言うのは悪くない。布一枚へだてただけの話し声がまことによく聞こえる。配給係が乏しい物資から食糧をひねり出し、厨房へ持ち込んだようじゃ」
それは明らかな軍規違反だった。グレイグはあわてて頭を下げた。
「王よ、なにとぞ……」
言い終わる前に、王の方から言った。
「配給係を叱るでないぞ」
久しぶりに、本当に久しぶりに自然な笑みが浮かんできた。
「私は何も知らなかったことにいたしましょう」
 のう、と王は言った。改まった口ぶりだった。
「わしはイレブンもここへ呼んだ。たぶん、まもなく来るじゃろう。その前に、お前と話がしたい。まず聞くが」
王はかすかに目を細めた。
「イレブンはお前を殺そうとしたか?」
グレイグは息を呑んだ。
「ご存知でしたか」
「わしも剣士のはしくれ、あれほどの殺気にあえばそれと知れる」
グレイグは眉を上げた。
「では、イレブンは我が王にも?」
「おう。殺気をまともにぶつけてきよった。待て待て」
王は片手でグレイグを制した。
「はじめ、わしはこう思った。イレブンはわしを恨んでいる、デルカダールを訪れてすぐに地下牢へ投じたのだから、と」
「それは、私も、イレブンから見れば同罪かと」
「ところがじゃ。イレブンはわしが命の大樹での出来事を覚えていないと知るやその殺気をきれいに納めおった」
グレイグは眉をひそめた。
「あのときのことでございますか?」
王はうなずいた。
「命の大樹が地に落ちたあのときのことじゃ。わしは記憶にないが、お前は覚えているはず」
グレイグはうなずいた。
 “そのチカラいただくぞ”、あのとき魔王はそう言った。そして左手をイレブンの胸に突き立てた。
魔王の左手から魔力が解き放たれた。体内で暴れる闇の力に耐えられず、イレブンは悲鳴を上げた。胸を貫くウルノーガの腕を両手でつかみ、なんとかもぎはなそうと身もだえた。
 左手の甲が熱く燃え上がる。勇者の紋章はイレブンの左手の上でひときわ輝き、光の粒子となって、手の甲から砂のように流れて消えた。
 紋章を失った手が力なくウルノーガの腕を滑り落ちた。ウルノーガが左手をイレブンの胸から引きぬいた。イレブンの身体は支えを失い、地に落ちた。
 世界の運命を変えてしまったあの事件のことを、グレイグはただ悔やみ、じっとうつむいていた。
「イレブンの左手に包帯が巻かれているのを見たか」
「はい。動きを見れば負傷は癒えたようですが」
王は首を振った。
「わしの考えが正しければ、あの包帯の下にあるのは傷ではないぞ」
「では何がありましょうか?」
「何も」
と王は言った。
「おそらく包帯の下には何もない」
「それならなぜ包帯など」
と言いさしてグレイグはやっと気づいた。
「イレブンは、勇者の紋章を失い、左手に何もなくなってしまったことを隠している、と?」
王はうむ、とうなった。
「イレブンは、命の大樹の上、大樹の魂の前で起きたできごとを人に知られたくないと思っているのではないか」
「しかし、勇者の仲間たちはすべて見て知っているはずです。隠しようがないのでは」
「今現在、パーティの仲間はイレブンの周りに一人もいない。あのときのことを知っているのは、記憶のないわしを除外すればホメロスとお前、そして魔王ウルノーガだけじゃ」
グレイグは呆然としていた。
「私は、どうすれば」
「この次にイレブンから殺気を感じたとき、命の大樹でのことをよく覚えていないと言ってみるがいい」
グレイグはうつむいた。
「それはムリがありましょう。ホメロスが」
幼なじみの名を口にするのは、深い傷をさらに切り開くような気がした。
「何をしたかはこの目に焼き付いております。そして、その助けを得た魔王が行った不埒な所業も」
しばらくの間、王は黙っていた。
「グレイグよ、お前は傷つき、迷っておるのじゃな」
静かに王は言った。
「ひとつ、頼みがある」
「なんなりと、我が王よ」
「デルカダール城の本棚にとある本があっての。内容を確かめてきてほしい」
「デルカダール城?しかし、そこは」
そう言いかけたときだった。テントの外で重装兵が言った。
「ようこそ、勇者さま。王とグレイグ将軍がなかでお待ちです」
テントの入り口が開き、イレブンが入ってきた。グレイグは王の正面からわずかにそれた。
「このたびのはたらき見事であった。グレイグ、そしてイレブンよ……」
イレブンは黙ってうなずいた。
「お前たちのその強さを見てわしは確信した。この地に光を取り戻す戦いをいまこそ仕掛ける時だとな。魔物の巣窟と化したデルカダール城に潜入し常闇を生む魔物を討ちたおす……。お前たちにこの作戦をまかせたい」
 グレイグは驚いた。
「お言葉ですが王よ……!」
ある本を確かめてくれというのは、城へ潜入することを意味していたらしい。
「まぁ聞け。わしとて無策ではない。どうにか敵に一矢報いる手はないかとひそかに城を探らせておったのだ。報告によればデルカダールの丘の崖上にデルカダール城内に潜入できる地下水路への道を見つけたらしい……」
「知っています」
とイレブンは短く言った。脱獄するためにその崖から彼と青髪の盗賊は飛び下りたのだとグレイグは思い出した。
 王は立ち上がった。
「城の中に入るにはあの道しかない……。このカギで地下水路から城内へ忍び込むのだ。イレブン、そなたに預けよう」
王が手渡したのは、デルカダールの鍵だった。
「……王よ!私は反対です!」
 グレイグは、焦燥に駆られて異議を唱えた。
「その間砦の指揮は誰がとるのですっ!我らの留守に攻め入れられればここは……魔物のエサ場と同じですぞ!」
王は冷静だった。昔と同じ、強い意志を示す目で王は見返した。
「そこを利用するのだ。魔物がここを攻めている間であれば城内の警備は手薄になろう。いまこそデルカダール城にひそむ常闇を生む魔物を討ちはらうのだ。さすればふたたび我らに朝を取り戻せるだろう!」
グレイグはこぶしを握りしめた。
「しかし私はっ……!!……私はこれ以上民を失うわけにはいかないっ……!」
デルカダール城潜入作戦の間に最後の砦が滅びれば、父とも慕う王と、共に戦ってきた部下たち、そして自分の居所を失う。生き残りの民は、今のグレイグにとって存在意義にも等しかった。
――それに、今のデルカダールにはあいつがいるのではないのか。
それはグレイグにとってひそかな確信だった。
「だからこそお前にこの作戦をたのむのだ」
王の声音には真心がこもっていた。
「……お前しかいない。このまま夜だけが続けば人の心も失われよう……」
グレイグはただうつむいた。
 ふと王が微笑んだ。
「なぁに案ずるな。わしはこの数か月の間思いしらされた。我が民は強く優しさに満ちてなによりも勇敢だ」
王はベッドの前で剣を抜き、眼前に捧げ持った。戦いを前にしたデルカダール兵の儀式的なしぐさだった。
「ひと晩だ……。ひと晩持ちこたえれば我らの勝利ぞ。……砦はわしが守る」
王はそう言い切った。その一言に、王の責任と覚悟がにじんでいた。
 グレイグは王の前に片膝をついた。まるで騎士の叙任のように、王はその頭上に剣をかざした。
「まかせたぞ。そなたらは我らの希望じゃ……。イレブンも、よいな?」
イレブンは、低い声ではいと答えた。
 グレイグはぞくりとした。再びイレブンは強い殺気をまとっていた。緊張しながらグレイグは立ち上がった。それではデルカダール城潜入作戦は、城内で待ち受けるあの男のほかに、自分に殺意を抱いている勇者を相手にしなくてはならない。危険だが、王の言う通り、やるなら今しかない。
 ふとグレイグは思い出した。
「先ほどの御下命ですが、本、とは」
王は泰然とうなずき、指先で空中に不思議な図形を描いた。
「わしの寝室にあるはずじゃ。表紙にこのような印のある、古い手書きの写本での。その、空の章、192頁を、お前の目で確かめてまいれ」