砂漠の行商人 目次

 2017年、「テルパドールの戦い」を書いたとき、市街を描写するについて実在の土地、モロッコをモデルにしました。作品冒頭、モロッコ名物の公衆浴場にグランバニア一家がいるところをイメージして書き始めています。「テルパドールの戦い」そのものはテルパドール城の地下庭園へ舞台を移したのですが、もう一度この、ハマムまたはハンマームと呼ばれる公衆浴場を書きたくて、小さめのお話を考えました。

「テルパドールの戦い」の直後、登場人物たちがテルパドール市街の公衆浴場を訪れたという設定のお話です。ビアンカ、マリア、王女は女湯へ、ルーク(5主)とアイル(王子)、ヘンリーとコリンズの四人は男湯へ行ったのですが、アイルは男湯の客の中にとある人物を見つけました。砂漠で行き倒れて主人公一家に押してくれ、と頼む行商人です。彼の正体は?目的は?お風呂ではおどおど気味のコリンズが、ヘンリーの向こうを張って推理を展開します。