2021年サイト設立二十周年イラスト

当サイト「王宮のトランペット」が今年(2021年)の1/26に20周年を迎えましたとあちこちで言って回ったら、twitterのフォロワさんで、にこやま@niko__yamaさんがプレゼントをくださいました。DQ5主人公とヘンリーが、王族スタイルでびしっと決めたところです。見ての通り、5主は設定どおりの優男、ヘンリーは親分兼王子の貫録で、うっとりしています。

しかもなんと、二人の衣装、5主ドールとヘンリードールにとんぼが制作した衣装(人形衣装展示室にまだあります。)をそのまま着せてもらっています。細かい所まで気を使っていただいて、感激でいっぱいです。にこやまさんは以前から当サイトの読者様だったとうかがいました。長いおつきあいができる幸せを噛みしめています。にこやまさん、そして、他の読者様、お客様、二十年分の感謝をささげます。

Luke & Henry as princes

ここで終わればいいんですが、いつものくせで小芝居をつけてしまいました。↓

 文武百官が威儀をただし、綺羅星のような来客がひしめく。その気配が、扉一枚をへだてて伝わってきた。
「いいか、根性見せろよ?」
太い縁取りのある青いケープと貴族の服をまとったラインハットのヘンリーは、真顔で親友に言い聞かせた。
「とにかく、自信ありますって顔をしてろ」
王者のマントと太陽の冠を装備したグランバニアのルキウス七世王ことルークは、ひきつりながらも笑って見せた。
「できるだけ、やってみる。けど」
「けど、なんだ?」
「国際会議なんて初めてなんだ。ぼろ出さないかな」
「俺だって初めてだ。ついでに言うと、三大王国と二大商人組合、自治都市連合の代表が集まっての頂上会議なんてものは、史上初だ」
う、う、とルークはつぶやいた。
「だよね。初めて尽くしだよね」
 史上初のサミットを提案したのは、ルークだった。暦法、度量衡、貨幣交換や輸出入のやり方等々、各国や各地方でバラバラになっているものを統一することが目的だった。
「このままじゃダメだってことはわかってるんだ。うん、ぼくがやらなくちゃ」
ヘンリーは、に、と笑った。
「できるさ。っていうか、勇者を擁して世界を救ったグランバニア王国の提案でサミットができなかったら、もう誰にもできないぞ」
 とんとん、とノックされた。
「坊ちゃ……王さま、皆さまおそろいですぞ」
サンチョが知らせに来たのだった。部屋をのぞきこんで、サンチョは笑顔になった。
「おや、よいお顔で。ご覚悟が決まりましたかな?」
二人は互いの顔を見合わせ、それからサンチョの方を向いた。
 ルークが言った。
「うん、決まった。そうだよね?」
そして表情を改めた。
「ラインハットの王国宰相殿、グランバニアの提案にご賛同をお願いする」
「グランバニア国王陛下、確かに承った」
とヘンリーが答えた。ふたりはうなずき、同時に腕を上げてたがいの肩をたたきあった。
「よしっ」
ばさっとマントを翻し、二人の王族は来賓の待つ大広間へと歩き出した。

(とんぼ 2021年1月)