女給斬り

 私ごとになりますが、家族の影響で昔から時代小説が好きでした。家に置いてあった小説の中で、一番よく読んだもののひとつが小説家藤沢周平氏の作品です。今回は大好きな藤沢作品「用心棒日月抄」(新潮文庫)から「夜鷹斬り」を題材に、ドラクエ世界に置き替えた二次創作を書いてみようと思いました。

 ときは青年時代前半、舞台はラインハット。一人暮らしの娘、フィニアは、勤め先のレストランで光の教団の僧侶二人が密談するのを聞いてしまいました。それ以来、闇の中から牙を鳴らす音が常に彼女を追いかけるようになります。身寄りのない貧しい女給仕のために用心棒を買って出たのは、道でぶつかった紫のターバンの若者でした。