炎のサントハイム 11.いつまでも、ともに

いつまでも、ともに

「ご無事ですか?アリーナ様。」
 アリーナに駆け寄り、クリフトは回復魔法をかける。
「デイル…逃げられちゃった…」
「いえ、あの傷でしたら程なく潰えるでしょう。…大丈夫です、アリーナ様のおかげでこの危機は去りました。」
「ありがとう。…あの、クリフト…」
 そのアリーナの顔は、ほんのりと赤かった。
 クリフトの顔も赤い。確かめずにいられなかった事を確かめる。
「…気が付いて、いらっしゃったのですね…」
「最初から気絶してなかったから。あいつに魔法を使わせずに倒す方法は、これくらいしか考え付かなくて、クリフトが気を惹いてくれたから、助かったわ。」
 全て聞かれていた事に、クリフトは顔を赤くする。
「あ、あの、わ、私は、その…」
 言葉が空回りする。今こそ、想いを告げるチャンスだと言うのに。
「ねえ、クリフト。」
「はい!!」
「デイルってさ、私の理想の外見をしてたのよね。」
 アリーナの考えは、表情からは伝わってこない。
「クリフトに似てたけど、クリフトより、ハンサムだったな~って思うわ。」
 クリフトは一般的に見て、かなり美形な部類に入る。だが、デイルの顔にはより隙と言うものがなかった。 それは逆に言えば、人間味がなかったと言う事であるが。
「そ、そうですね。」
 アリーナはじーっとクリフトの顔を見つめる。クリフトの顔はトマトのように赤くなった。
「でもね、私、クリフトの顔の方が好きだわ。それに、クリフトなら、いつだって一緒に戦ってくれそうだもんね。」
 そう言って笑うアリーナ。そして、くるり、と後ろを向いた。
「さあ、ラグたちを助けに行って、それからお父様に報告しなきゃ。きっと、がっかりするでしょうね。」
 今の言葉を吹き飛ばすように、明るく言うアリーナ。その、照れたような背中が、妙に嬉しく思えたから。
 クリフトは、アリーナのすぐ後ろに近寄った。
「はい、アリーナ様。いつまでも、ともに。」
 そっと耳元でつぶやいた言葉。…それは、確かな誓いだった。

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「炎のサントハイム」いかがでしたでしょうか。初めてのweb紙芝居でしたが、衣装係はたいへん楽しく撮影させていただきました。作業台の上にブルースクリーンを置いて、その前にお人形を立たせて写真を撮るのですが、あちこちに出番待ちの人形や小道具、衣装が散らかって大騒ぎでした。

 そうやってできた画像をパソコンの中で背景から切り抜いて、お借りした美麗背景と合成します。なんとなくそれっぽく見えると、すごくうれしいものです。

脚本を書き、演技指導をくださったまさよしさま、小道具を製作してくださったり、背景を貸してくださったサイト様、そして、ここまで御覧くださいましたあなた様、どうもありがとうございました。

2004年7月9日 とんぼ