フェルト試作段階
妖精の王子様
つけたほうが恥ずかしくなるようなタイトルですが、ベルトに使ったリボンを首に巻いたら、天使というより妖精、しかもエルフよりフェアリーという雰囲気の羽になりましたので……。白いフェルトのジレ(レースとビーズ付き)を速攻で作って着せ、ブーツは、カエル/グレンから借りてきました。
マヒャド2秒前のピサロ様……
マント構想段階
前に撮った写真に相棒がいたずら書きしたもの
タック段階
タックを撮ったときにオレンジ色の背景を使ったら、表情が妙にまじめそうに見えました。
防具段階
防具を作ったときに撮影したピサロさん。白と黒オンリーというのも、なかなか好きです。早くマントを作ってあげたいものです。 バックに使ったのは、マントの裏地になる予定の生地です。
アクセサリなしのピサロさん。背景といっしょになってよく見えませんが、足を開いてふんぞり返っています。こういうえらそうなポーズがよく似合う人です。
剣鎮めの舞
WEB紙芝居、「炎のサントハイム」は、サイト「空の樹の下」の管理人きしまさよし(蒼夢)さんが監督となり、シナリオを書いてくださいました。
その冒頭、18になったアリーナは、お見合いを兼ねた誕生パーティに10日間も出席します。が、中一日、誕生日当日だけは、導かれし者たちがサントハイムに集まって、お祝いしてくれました。シナリオに言及はないのですが、もしかしたら、ピサロさんもロザリーさんといっしょに招かれて、出席したのではないでしょうか?パーティの花は、もちろんマーニャが繰り広げるあでやかな舞でしょう。が、そのあと、恋人にせがまれて、ピサロさん、剣の舞を披露するはめになったのでは……などと空想してしまいました。
その空想の中身↓興味のある方だけどうぞ。
★なんと、まさよしさん自ら、とんぼの駄文に続きをつけてくださいました。導かれし星たちが、世界を作り上げていく姿をごらん下さいませ。
(ここからとんぼ)
魔界の剣の柄に長い指をかけて、ピサロは優雅に抜き放った。無造作に片手にさげたまま、サントハイム城の大広間の中央へ出て行く。彼の周囲にのみ、宴には不似合いな黒い妖気が漂っているように見えた。
アリーナは以前一度だけ、ピサロが舞うのを見たことがあった。とある不思議な場所で魔界の剣を手に入れた後、ピサロは一人、夜の森へ入っていき、月明かりの下で剣を手に、ゆるやかに踏歌していたのだった。あとで聞いたとき、ピサロはめんどうくさそうに、”剣を鎮めていただけだ”と言い、マーニャはかんかんになった。「なんであたしに言わなかったの!」専門家として、見ておきたかったらしい。
ロザリーの唇が、横笛にかかり、不思議な音色が忍び出た。魔界の剣のきっさきが、なめらかな円を描いて宙に上がっていく。サントハイムの人々は、足元から冷気に襲われていたが、目を離すことはできなかった。そして魔王の目は、ただ刃にのみ注がれている。ピサロは腕をのばし、魔界の剣はその延長のように、するすると伸びた。
アリーナは息を呑んだ。距離があるとはいえ、魔界の剣がつきつけられているのは、勇者その人だった。この二人の、憎悪とも友情ともつかない関係は、いまだに整理がついていないのではなかろうか。
闇が、呼ぶ。そのとき、光が答えた。勇者は、傍らにいたシンシアに何かつぶやき、それからおもむろにピサロへ向かって歩き出した。その手が彼の、彼だけの武器にかかる。
魔界の剣が呼ぶ。その声に答えて、天空の剣がいま、鞘からすべりだした。痛いほど清らかな白い霊気がたちのぼるようだった。魔王と勇者は、それぞれの刀身を目の高さにかかげて正対した。このまま殺しあったとしても、不思議ではなかった。が、二人は、鏡に映したように、お互いの動作をなぞって動き始めた。
エルフの笛が、旋律を奏でる。ふた振りの剣は、けして交わることなく、あくまでもゆるやかに軌道を描いていた。片足を軸に、両者が向きを変える。背中あわせになってさえ、二人の動作は一致していた。
(とんぼはここまで)
(ここから、まさよしさん)
ゆっくりと笛の音がまじった。ロザリーの笛の音より、少しだけ高い旋律。見るとそこには小さな笛を懸命に吹いているシンシアがあった。調和するように、輪唱のように高い笛と低い笛がゆっくりと踊りに混ざり合う。ゆっくりと前に出、円を描くように舞う二人の近くへと歩む。
それは、光と闇の象徴が踊りあう中、溶け込むような自然の全てだった。
全てが見とれる中、ただ一人うずうずとしていたのが踊り子マーニャだった。剣舞というのはマーニャにとってできないものではなかったが、どうしても本格的に剣を学んだ人間のきちんとした動きに比べると劣ってしまう。そして踊っているこの二人は世界でもトップの剣の使い手なのだ。つまりこの剣舞は、世界最高のものなのである。そう踊れない悔しさもあるが、そんなものより、その踊りに溶け込みたかった。
感動する気持ちとじりじりとする気持ち。凝視するように見ていたマーニャに向かって勇者はそっと微笑む。
マーニャが飛んだ。まるで体重がないかのように。二人はゆっくりと中央を空け、神の踊り子を迎え入れる。ふわりと降り立ったマーニャはゆっくりと二人の周りを巡る。光と闇を生み出した、全てを愛し、見守り続ける神。マーニャはその化身だった。
笛の旋律にあわせて剣を振るう男の周りを、ゆらりゆらりと踊る女。不思議な音色もあいまって、それはまるでこの世のものとも思えないほどだった。
そこに小さく滑り込んだ現実の音。その音を操るは、自然の力を貰い受け、現世に召還する魔法使い。自然を操り、自らの運命を切り開くもの。自然と人間界の境界を操るものの洋琴の音だった。それを象徴するは、人と自然の間。
そして、小さく響く金の鈴の音。神の、聖霊の、自然の全ての力を借り受け、それを人へ伝える運命の導き手。全てを知りながら、その者はけっして人の運命を動かす事がない。ただ、人の運命を手伝う者は小さな鈴をゆっくりと鳴らす。それを象徴するは、人と神の間。
時に大きく、深く響くベルを持つ者は、人が作りし者を人へと渡し、運命の手伝いをするもの。幸運を祈り、時には人を傷つけるものを人へと伝えていく使命を負ったもの。世界を回す、人の絆を携わるもの。それを象徴するは、人と人の間。
三人は対立しあうように、協力し合うように大きな三角形を描く。中に自然と神を取り込む大きな三角形をゆっくりと作りながら、三人は旋律を作る。
そうして、二人が剣を抜く。一人は神に仕えし者、もう一人は人に仕えし者だった。二人はまっすぐ一直線上に立ち、ゆっくりと剣を振るう。同じ心を持ちながら、全く別にある二人はゆっくりとその場を、剣を振りながら回る。二人が象徴するのは神への愛、人への愛。…そして心。
人間界に生きる者は、自然界に生きるものたちを囲み、五芒星を作りながら、その場で音を彩り、剣を躍らせる。ゆっくり、ゆっくり世界を作る。
この踊りは先の闘いを表していた。そして、世界の全てだった。光と闇は自然とともにあり、それを神が見守る。人は絆を、心を持ち、ゆっくりとその周りに集っていた。
そして、世界が秩序あるための最後の一つ。皆はそれを待っていた。神が、その最後に微笑みかける。そして、それが判らない仲間ではなかった。
座っていたアリーナがゆっくり立ち上がり、踊りの中央へと歩みだす。周りを囲う人間達がゆっくりと動きだし、図形を変えてゆく。六芒星の形へとゆっくり変化をし、最後の頂点にマーニャは降りたとうとしていた。
が、アリーナはにっこりと笑い、くるりと図形の中央で一回転したあと、そのままゆっくりと歩を進める。アリーナの意図を察し、ゆっくりと皆が図形を変える。アリーナは六芒星の最後の頂点に立った。王は世界の中心にあるのではなく、人間の世界の一端をにぎるだけなのだ、と笑ってみせる。
そして、その中で光と闇、自然と神は五芒星の形を築き上げた…
ゆっくりと、音楽が終わる。一瞬の静寂。そして、拍手。サントハイム王と召使いだけが独り占めするのがもったいないほどの、素晴らしい舞だった。
(SSここまで)